ビジネスコミュニケーション のコツとは?コミュニケーション力がある”はず”なのにビジネスが上手くいかない人の3つの特徴

「コミュニケーションを避けて成し遂げられるビジネスはない」といっても過言ではないほど、仕事をする上で コミュニケーション力 が大切なことはすでにご存知かと思います。コミュニケーション力が高い人は仕事ができる人が多い、などという話をよく耳にする中で、こんな疑問を感じてはいませんか?

「自分はコミュニケーション力があるハズなのに、なかなかビジネスがうまくいかない…」

交渉学講師をしている私にはその理由は明快です。それはビジネスに特化したコミュニケーション力(ビジネスコミュニケーション力)を身に着けていないからです。

この記事では、コミュニケーション力 がある”ハズ”の人が、ビジネスでうまくいっていない理由について紐解きながらビジネスコミュニケーションのコツを解説していきます。この記事を最後までお読みいただければ、自分自身では気づかなかったコミュニケーションの課題と解決策を知ることができます!ビジネスが明日から大きく飛躍することでしょう!

1. ビジネスコミュニケーションとは?

ビジネスコミュニケーションとは?
ビジネスコミュニケーション力とコミュニケーション力はどう違う?

ビジネスコミュニケーションとは、コミュニケーションの中でも、仕事の業務を遂行する上で人と意思疎通する場面を想定しています。例えば、お客様との商談、社内調整、部の会議などですね
日常的なコミュニケーションであれば「友達と楽しく過ごしたい」といった漠然とした目的でも成立する一方で、
ビジネスコミュニケーションとなると、「商品を知ってほしい」などといった、明確な目的を持ってコミュニケーションの場を持つことが多いでしょう。
ビジネスコミュニケーション力は、日常的なコミュニケーション力に加えて、双方の明確な目標を理解・検討・遂行するために必要なビジネスに特化したコミュニケーション力です。

ビジネスコミュニケーション比較

ビジネスコミュニケーションの定義をなんとなく理解したところで、早速、本題にうつりましょう!

2. コミュニケーション力がある”ハズ”なのにビジネスがうまくいかない人の3つ特徴

特徴1)「聴く」ことができていない

「自分はコミュニケーション力がある」と思われている理由は、あなたが「話上手」だからではないでしょうか。確かに楽しく話ができ、場を盛り上げることができれば、硬い空気がなごみ、周りも意見を出しやすくなるでしょう。とても大切なことですね。ただ一方で、話す事ばかりに力をいれ、「聴く」ことをおろそかにしていると、ビジネスコミュニケーションはうまくいきません。その理由は、目的をもってその場に集まっている人々が、双方の目的を聴いて理解することで、初めてビジネスとして検討し、遂行することができるからです。話すばかりで「聴く」ということができていないと、自分の要望を押し付けるばかりのコミュニケーションとなってしまいます。それではビジネスとして広がらず、その場限りの話し合いになってしまいますね。当然ビジネスはうまくいきませんよね。

それでは、ビジネスの場で相手の話を聴くにはどうすればよいのでしょうか?

それぞれについて具体的に解説していきます。

「共感」が相手に伝わるリアクションをとる

「聴く」ことで相手の目的や考えを知ることができますが、そのためには相手にたくさん話をしてもらう必要がありますね。そこで、相手があなたにたくさん話をしたいと思うような空気をつくることが重要です。そのためには、あなたが相手の話す内容に共感しているという意思を表現しましょう。あなたが「受け止めてくれる」「理解してくれる」といった共感を相手が感じ取ると、相手は安心感や嬉しさから「もっと話したい」という気持ちになるからです。相手が話をしている間、3つのリアクションを意識すると、あなたの共感を相手に示すことができます。

共感を生む3つのリアクション A) B) C)

A) 相手が話をしているときは、常にうなずく

B)「なるほど」「そうですね」「わかります」「たしかに」「おっしゃるとおり」といった言葉で相槌をうつ

C) 相手が特に感情に訴えかけている言葉はオウム返しをする
  ↳具体例:
   相手「明日中に稟議をとおさなければいけないんです…」
   あなた「明日中に稟議をとおさなければいけないんですね!」

共感を生む聴き方

② 相手の話にスピードをあわせる・表情をあわせる

相手の話すスピードや表情に同調しましょう。あなたが相手に合わせることで、相手は自分のペースで話をすることができ、安心して話を続けられるからです。具体的には、相手の話し方が早ければ自分もスピード感をもって、相手の話がゆっくりであればゆっくりと話してペースをあわせます。表情についても相手が悲しい表情をしていれば悲しい表情に、嬉しい表情をしていれば嬉しい表情にあわせます。ペースを相手に合わせることで、相手は、安心して話せるあなたともっと話をしたいと思うのです。

③ 相手の話の要点をまとめて伝える

長い間会話をしていると、要点がずれてしまったり、誤認識をもったまま話が進んでしまうことはありませんか?そういった相互理解のズレを解消するためにも、会話と会話の合間に、相手が話した内容の要点を簡単にまとめて伝えます。相手も、あなたがこれまでの話をまとめてくれることで、「自分が伝えたかった事が理解されている」と知ることができます。相手は安心すると同時に、あなたへの信頼感も生まれますね

会話をまとめる

④ はじめはクローズド・クエスチョンで質問する

相手のことを知るためには、当然相手に質問をする必要がありますよね。まずは相手から何を知りたいのか、事前にまとめておきましょう。その上で、相手に質問するのですが、質問ばかりされてしまったら相手も圧倒されてしまい、心を閉ざしてしまうかもしれません。会話が始まって間もないうちは、質問は可能な限りクローズド・クエスチョンで質問します。クローズド・クエスチョンは相手にとって負担が少ない質問方法だからです。

クローズド・クエスチョンとは?

クローズド・クエスチョンとは2つの選択肢から1つを選んで答えることができる質問方法です。例えば「はい」または「いいえ」で答えられるような質問ですね。


具体例:相手が抱えている課題を知りたいとしましょう。
✗悪い例:「御社の課題はなんですか?」
と直球に聞いてしまうと、相手はびっくりするとともに、回答を探す負担がかかってしまいますね。

◎良い例:「御社が抱えている課題は予算ですか?」
とクローズド・クエスチョンをつかって質問すると、相手の答えは「はい」または「いいえ」の2択となり、返答に負担がかかりません。

クローズド・クエスチョンは何度使っても有効です。クローズド・クエスチョンで質問を重ねていくうちに、相手は自ら質問の答えを話しはじめるようになります。クローズド・クエスチョンで質問を始め、ある程度会話が弾むと、相手は心を開き始めます。質問が受け入れられやすい空気づくりができたところで、オープン・クエスチョンといった、2択では答えられない、制限のない質問に切り替えていくとよいですね!

クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョン

以上のように、ビジネスがうまくいかない人の特徴の一つとして、相手の話を「聴く」ことを十分に理解できていないことが考えられます。これまでにお話させていただいた、4つの解決策(リアクション、同調、要点のまとめ、質問方法)などを意識して「聴く」だけでも、ビジネスは広がるはずです。是非明日から実践してみてください。

特徴2)相手に要点が伝わる「話し方」ができていない

「自分はコミュニケーション力がある」と思われている理由は、あなたが伝えたい物事に自信があるからではないでしょうか?例えば商品知識が豊富であったり、サービスに圧倒的な自信があると、相手に伝えたいことがたくさん頭をよぎってしまいますよね。そのまま何も考えずに話したいことだけを話してしまうと、

「結局なにが言いたかったんだろう??」
「説明の意味がわからなかった。」
「なんだか失礼だ。」


などと、肝心な要点が伝わらず、同時に悪い印象を与えてビジネスが広がりません。必ず、「相手に伝えたいこと(コミュニケーションの目的)」を明確にして、その要点が伝わるよう注力して話しましょう。それでは、相手に話の要点が伝わるコミュニケーション方法を3つのステップでご紹介します。

相手に要点が伝わる「話し方」3ステップ

STEP
事前に相手につたえたい要点を明確にしておく

これだけは相手に伝えたいと思う要点を事前に整理しましょう。メモなどで箇条書きにして要点を明確にしておくと、論点がずれてしまった場合に、振り返ることができるのでオススメです。

STEP
要点は簡素に伝える。具体例を交えるとなお良し。

要点が明確であっても、話が長いと、相手にとっては話のどの部分が要点なのかわからなくなってしまいます。要点を伝えるときは不要な話を削り、シンプルに伝えましょう。具体例を交えるとイメージが湧きやすく、より明確に伝わり、なお良いです。

STEP
DESC法を使って要望をつたえる

相手に伝えたい要点が、「要望(なにかをしてほしい)」である場合はDESC法を使いましょう。とくに、要望が相手に受け入れられ難い内容である場合、とても効果的です。

DESC法とは?

DESC法はDescribe→Express(Explain)→Suggest(Specify)→Choose(Consequence)の順番で要望を伝えます。

Describe:自分の私情を抜きに、客観的な状況を説明する
Express(Explain):自分の主観を冷静に説明する
Suggest(Specify):相手に提案する、要望を伝える
Choose(Consequence):受け入れられた場合の対応と、受け入れられなかった場合の代替案を伝える

具体例:納品日を早めてほしい場合
Describe:「先方の商品リリース日が早まってしまいました」
Express:「いつも丁寧で迅速な納品にとても感謝しております。無理難題を申しているのは重々承知です」
Suggest:「納品日を1週間早めて頂くことは可能ですか?」
Choose(結果を示唆):「それならリリース日にも間に合いますし、お客様にもご安心頂けます」
Choose(代替案):「もしくは、一部商品の納品を分ける案も一緒に検討しましょうか?」

このように、相手にとっても難題だと思われる要望を、相手の気持ちを考えながら伝えます。さらに譲歩する代替案を設けることで、相手もその要望をできる限り答えようと思うのです。それがDESC法です。

DESC法

以上のように、ビジネスがうまくいかない人の特徴の一つとして、相手に話したいことを話してしまい、要点が伝わる「話し方」をしていないことが考えられます。伝えたい要点を明確化し、簡素に相手に伝えるよう心がけましょう。DESC法についても是非試してみてください。要点が伝わる話し方をすると、ビジネスが円滑化しますよ!

特徴3)事前準備が不十分

私の交渉研修では「事前準備が8割」と教えています。「聴く」こと「話す」ことができていても、コミュニケーションの目的を達成するための事前準備が不十分だと、ビジネスは成功しません。事前準備が不十分だと、相手との制限された時間内で目的を達成するために必要なコミュニケーションをとることができず、結果、「ビジネスがうまくいかなかった」となってしまうからです。

コミュニケーションの目的を達成するために必要な事前準備とは何でしょうか?

① 相手を知る

話す相手の情報収集をしておきましょう。相手の話を理解し、相手と同じ目線で話をするためにも大切です。また、自分が達成したい目的が、相手にとって検討できる範囲内のものであるのか(会社や業界市場にとって無理難題・見当違いではないか)を事前に検討するためでもあります。相手が他社の場合、その会社や業界の市場などを事前に調べておきましょう。マーケティングでよく知られている3C分析をつかうのがおすすめです。

3C分析

② 目的を達成するために「伝えたいこと」「知りたいこと」を明確化する

前章の「相手に要点が伝わる3ステップ」でも一部お伝えしましたが、目的を達成するために話す要点を明確化しておきましょう。明確化しておくのは「伝えたいこと」「知りたいこと」の2点です。相手が答えずらいと想定される「知りたいこと」については、相手に質問する際の質問方法も事前に考えておくことをおすすめします。

伝えたいこと、知りたいこと

③ 相手から想定される質問の答えを準備しておく

相手から想定される質問を考え、その回答を準備しておきましょう。相手からの要望にその場で回答できるよう、必要に応じ、社内の調整や上司への確認を行い、要望に答えられる範囲を把握しておくことも大切です。すべての質問について「後ほど別途回答します。」となってしまっては、交渉の回数が増え、信頼関係の構築にも影響が出てきてしまうからです。

以上のように、ビジネスがうまくいかない人の特徴の一つとして、事前準備が十分でないことが考えられます。話す相手について調べ、相手に伝えたいことや知りたいことを明確化し、質問と回答を準備しておくことは、とても単純なことに聞こえますよね。単純に聞こえるこの事前準備こそ、ビジネスコミュニケーションで最も重要な部分なのです。事前準備が十分にできていれば、「聴く」こと、「話す」ことも上達するはずです。気を抜かず、念入りに事前準備をしましょう!

3. 交渉を学ぶとさらにビジネスコミュニケーション力がつく!

実はこの記事で説明させていただいた内容は、私が教えている交渉アナリスト資格研修講座のほんの一部です。それはビジネスコミュニケーションは交渉を成功させるための一つのツールであり、その他にも戦略や戦術など、交渉を成功させるのに必要な要素はまだあるからです。もしここまでお読みいただき、交渉学に興味を持たれた方は是非、交渉アナリスト資格研修講座をご受講ください!より体系的かつ実践的に学んでいただけます。一緒にビジネスを切り開いていきましょう!研修でお会いできることを心待ちにしております!

4. まとめ

いかがでしたでしょうか?この記事では「コミュニケーション力があるハズなのにビジネスがうまくいかない人の特徴」を解説しながら、「どのようなコミュニケーションをとればビジネスがうまくいくのか」についてお話させていただきました。

特徴①「聴く」ことができていない
→解決策:
✔ 聴くときは「うなずく・相槌をうつ・オウム返しをする」
✔話すスピード・表情を話している相手にあわせる
✔ 相手の話の要点をまとめて伝える
✔回答の負担が軽減するクローズド・クエスチョンで質問する

特徴② 相手が受け入れやすい「話し方」がをしていない
→解決策:
✔要点を事前にまとめて簡素に伝える工夫をする
✔DESC法を使って要望が受け入れられやすい話し方をする

特徴③ 事前準備が不十分
→解決策:
✔相手について事前に情報収集をしておく
✔伝えたい要点を明確化し、リスト化する
✔想定される相手からの質問の回答を準備しておく

ビジネスコミュニケーションは交渉学のツールの一つ!ビジネスを成功に導く交渉学は奥が深いのです!MBAレベルの交渉学を体系的かつ実践的に学んで、ビジネスを切り開きましょう



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